第三回 あると便利な世界観2(ファンタジーほど気合いを入れよう)

こんにちは、骨董屋佐竹でございます。
連載記事も第三回になりました。
読者の方々に少しでも面白く役に立つことを平に願いつつ、今回もお話して参りましょう。
今回のお話は、予定通り『世界観』をもうちょっと突っ込んだ『ファンタジー世界』を行おうと思います。

まず、ファンタジーとはなんでしょうか?

ファンタジー【fantasy】 幻想的な事象や超自然的な空想等を主題にするフィクション作品全体を指す。

物語としてはこう定義されている事が多いと思います。
『現実には起きそうもない出来事を扱った創作物ジャンル』というほうがわかりやすいかも知れません。
ぶっちゃけて言えば、空想物語というやつですね。
区分けをすると。

  • ハイ・ファンタジー(異世界譚や英雄譚など現実世界から離れた所にある世界を描くジャンル)
  • ロー・ファンタジー(現実世界を舞台にしてファンタジー要素を加えていくジャンル)
  • SF(空想科学・サイエンスフィクションを扱うジャンル)

こんな感じです。
『すこしふしぎ』とおっしゃっていたのは『ドラえもん』で有名な藤子・F・不二雄先生でらっしゃいましたでしょうか。
これはこれで非常に本質を突いているのではないかなあと思います。
  さてこのファンタジーというジャンル、子供の頃から大好きだと仰る方々もかなりの人数いらっしゃるのではないでしょうか。
作るのも書くのも大好きだとおっしゃる方々もたくさんいらっしゃるでしょう。
  特にハイ・ファンタジーを創作されようとされる方は尊敬します。
本当にスゴイと思います。

何がスゴイって創作されている方は分かると思いますが、ハイ・ファンタジーは他のジャンルに比べて世界観を構築するための取り決めが物凄く多い。
世界を全部自分で作るのです。中々出来ることではありません。
更に、それを志す人間には大きな試練が待ち構えております。
  まず一つ目。当然ですが、現実世界を忘れさせ空想世界に引き込む為に相応の世界構築が必要になるという試練。
そして二つ目。現代物のように人が持ち合わせている『共通認識』とか『常識』に頼ることが出来ないという試練。

一つ目だって凄く大変ですが、二つ目だって結構厄介です。
  ライトノベルに多く見られるロー・ファンタジーは膨大な取り決めは沢山ありますが、ある程度『現実』や『常識』に頼ることがまだ可能です。
しかしハイ・ファンタジーは全てが自分の構築物であるが故、自分の頭の中の『ファンタジー世界』のことを全て作者本人がおもしろおかしく説明する必要があります。
そうしないと読者は作者が構築した世界を把握することができず、空想に遊ぶことが出来ません。
つまり本格的なファンタジー世界を読者様に楽しませるまで持って行くには、納得させられる世界観構築とそれを説明できる高い説明技術が必須技能になるのです。

たとえば、J・R・R・トールキン作『指輪物語』というファンタジー作品の『お手本』と称される古典をご存じでしょうか?
優秀な言語学者でもあるトールキン先生は、『指輪物語』を作成する際にその世界の『言語』の作成から始めたと聞いています。
彼はファンタジー世界に現実味を持たせる為には『文化』というものを一から構築することが必要である事を理解していました。
それ故に文字言語・歴史的文化・宗教及び思考・科学・化学・付随する単位・生きている生物の生態・種族・世界自体の気候・大地の地質に至るまで、事細かく作成していき、それを物語に反映していったのです。

その結果。

確かに『指輪物語』自体は冒頭「ホビットの冒険」から読んでみますと、ホビットという種族が住む世界・生態・民族文化・慣習に至るまで研究者たる真面目な文章で事細かに書かれており正直読むのに忍耐が必要な代物にはなってはいたのですが、この必要のなさそうな丁寧な説明こそが『指輪物語』の世界に没頭するのに正に必要な要素となりました。
この文章を乗り越え『指輪物語世界』を理解し空想で遊ぶことが出来るようになった読者は、この世界に起きている『災厄』や『争い』や『指輪』というアイテムの重要さを堪能し共有することが可能となっていました。

つまり、読者側には試練を超えた選ばれた民だけがこの楽しみという特権を享受できるという、抗いがたい読者の愉悦が生まれていたのです。
そして創作者側には、『神話』や『歴史』を読み解くことで得られた一部の知識人の愉悦を自らが作り上げることが出来るという創作者の愉悦を強く全面的に押し出すことが出来たのも、『指輪物語』の大きな功績でありました。
読者の愉悦と創作者の愉悦が双方強く感じられる希有な成功作、傑作。
故に『指輪物語』はファンタジーの『お手本』であり、今でも語り継がれる『教科書』たり得たのでしょう。

この『世界を一から作ることが出来る』ことに魅力を感じた多くの童話作家やファンタジー読み物作家は次々に追随し、当時の世相や身近な題材、歴史等の叙事詩に幻想要素を取り入れたものが大半だったこれまでの童話以外に『世界を一から創作する』という叙事詩的、英雄譚敵、神話的なジャンルも再認識されるようになります。
その後、多くの読み物や娯楽で物語世界が生み出されました。

身近なものでは『ハリー・ポッター』シリーズや『魔法使いハウルと火の悪魔』『スレイヤーズ』等のライトを含む文学作品や『ワンピース』『進撃の巨人』等の漫画作品、『ダンジョン&ドラゴンズ』『ソードワールド』『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』等のゲーム作品、『スターウォーズ』『ライラの冒険』『天空の城ラピュタ』等の映画作品。
この誰もが一度は見たヒット作品群の共通点は、魅力的なキャラクターを動かす『ファンタジー世界』の緻密な構築です。

これを見てもファンタジーというジャンルを書く上で、世界観の緻密さというものは最大のファクターであると言えるでしょう。
むしろ、そこをなおざりにしてふんわりと『どこかで見たような世界』を投げかけても、世界観に溺れることが大好きなファンタジー好きは食いついてくれないと心得たほうが良い。
『面倒臭い』『既存の世界観で良いじゃん』『どうとでもなって楽だ』という理由でファンタジーを選択するのは正直危険です。
世界観構築がキモになり売り上げにまで関わってくるのが、このファンタジーというジャンルなのです。
でも前に言ったとおり自分の世界観の中で人が遊ぶようになるという快感は抗いがたいものですし、やり甲斐も絶対ありますので世界観構築は大変面倒ですが覚悟を決めたら是非挑戦してみてください。
 

何度も言いますが、
『ファンタジー世界を描くには、緻密な世界観の基礎を築くことが重要である』

そこを踏まえてなおざりにしなければ、世界を描く事とキャラクターが動く事に対し脳内麻薬が分泌され快感しかありませんから!
では、これから沢山の世界観が生まれることに多大な期待をしつつ、今回は紙面が尽きましたので筆を置かせていただきます。
次回は議題を『うちの子』に戻りまして、今度は脇役キャラの重要性について語らせていただければと思います。
また見てくだされば幸いです。
今回もありがとうございます、骨董屋佐竹でした。