理想のキャラクター表を作ってみよう!

人生には、もっと早くに出逢っていればと思う場面が度々訪れる。編集長という少々堅苦しい肩書のもと活動するわたし、笠原小百合といえど、ごく普通に恋愛だってすることはある。過去には、好きになった人に既にパートナーがいたこともあった。
そんな時は思わず、もっと早くに出逢っていればとどうにもならない後悔の念を抱いてしまうものだ。そしてつい最近、それに匹敵するほどの深い後悔と衝撃を創作関連で受けたことがある。それは他でもない、「うちの子まとめ」さんを知った時だった。

物語のあるところ、キャラクターあり。物語を考えたことのある人なら、その物語に登場するキャラクターについても頭を悩ませたことがあるだろう。物語を確立していく過程で、キャラクターを生み出し、考え、作り上げていく。わたしにはキャラクターを「考える」という言い方がしっくりこないので、ここではキャラクターを「知る」と書くことにしよう。既存の人物を根掘り葉掘り知り尽くしていくイメージでわたしはいつもキャラクターを作っている。それら知り得た情報をどうするかというと、覚書として簡単にまとめておく。

名前、性別、年齢、職業、性格などをまとめたそれが、わたしのキャラクター表である。表というほどしっかり表の形式をとっておらず、ただ情報が羅列してあるだけだ。若干見づらいのが玉にキズだが、難しい余計なことを何も考えずにただ知り得た情報を書きなぐっていけば良いため、作成段階では楽である。

と、今まで書いていた作品はそれで良かった。しかし、拙作『フィアンセは猫である』(以下、『フィア猫』とする)の場合、そういうわけにはいかなかったのだ。キャラクター表。まずそこで、はじめてのキャラクター小説創作の壁にぶち当たることになった。

キャラクター小説の場合、物語の中でキャラクター情報をいかに出し入れするかが最も重要とも言える。執筆を進めながら、いかに情報をはやく探し出し使っていくかが鍵となる。ここで、表の見やすさが重要となってくるわけだ。

キャラクター小説に長けている人の話では、見やすさ・使いやすさを重視したキャラクター表を突き詰めていったら、表計算ソフトである「エクセル」に辿り着いたという。確かに毎回キャラクターへの質問の項目を作る手間が省けるし、定型になっていればキャラクター同士の比較もしやすいし、きっちり表の形をしているので見やすさも抜群だ。あとから情報を追加するのにも、持って来いだ。

そしてこの文章を読んでいるあなたは、恐らく「うちの子まとめ」さんを使ったことがあるのだろう。「うちの子まとめ」さんは、キャラクター情報をWeb上にまとめておけるという、キャラクターを知っていくのに最適なWebサービスである。キャラクター小説書きなら、これを利用しない手はないとわたしは思う。

しかし『フィア猫』は「エクセル」を使うという発想もなく、「うちの子まとめ」さんとも出逢う前だった為、手書きのキャラクター表だった。ノートにペンで書いただけの、超アナログである。これがまた大変な作業だった。前述したとおり、わたしは思い付くままに情報を書き留めてしまったので、どこに何が書いてあるのかが一目ではわからない。キャラクター同士の情報を比較するためにノートを捲るのにも苛立ってしまう。もしかしたらキャラクター情報をまとめることに、創作全体の中で一番時間をかけたかもしれない。

苦労ばかり多いように書いたが、それでも手書きにもいいところはある。それは、関係図が簡単に書けるところだ。テレビドラマの公式サイトに載っている相関図のようなもの。矢印が飛び交うそれも、アナログならささっと書けてしまう。わたしがキャラクター表をデジタル化しないのも、それが理由のひとつである。関係図を意識すると、物語が動くのだ。それは一体どういうことか。

それぞれの関係を見つめていくうちに、新たなキャラクター像が見えてくることがある。それに単体で考えついた特徴より、関係性の中に見える特徴のほうがいきいきとしているようにわたしは思う。例えばただ「りんごが好き」とするよりは、「母親がうさぎ型に剥いてくれたりんごが好き」としたほうがより具体的でイメージがしやすい。おまけにひとりのキャラクター紹介で相手の顔も、その相手とどんな関係なのかも見えてくる。こうしてわたしは物語に肉付けをしていくのだ。

また、物語によって必要な情報は変わってくる。物語に必要な部分だけ知ることが出来れば良い、という考えの人もいる。例えば、長所短所、髪型など、実際に描写する部分だけ知っていれば良い、という考え。それとは反対に、キャラクターをより深く知るために様々な情報が欲しい人もいる。誕生日、血液型や好きな食べ物だとか、物語に直接関係しないような裏設定まで。どれをどこまで突っ込んで知り得ていくかはその人次第だ。つまり、物語に必要な基本情報は作家の創作スタイルにより異なっていると言える。

そして、この基本情報が毎回安定している人は、わたしの知る限りではあるが、安定した作品を書いているイメージが強い。ここは押さえておきたい、という項目が人によって違うのは明白であり、そしてその差異こそが物語のオリジナリティを育むために大切なことなのではないだろうか。自分なりの項目を使ったオリジナルのキャラクター表が完成した時、そのキャラクターを本当に知るため、物語を深く描くためにようやく一歩踏み込めるのかもしれない。

色々書いたが「うちの子まとめ」さんを利用するのが、最初にキャラクター表を作るのには簡単で便利かと思う。検索避けもできるので、公開することなくこっそりと自分だけのキャラクター作りに打ち込むことも可能だ。また、小説の場合はキャラクターのイラストを外注する際にも便利だろう。『フィア猫』の表紙と挿絵は友人に頼んだのだが、それぞれのキャラクターのイメージを伝えるのにとても苦労した。ここでも、もし「うちの子まとめ」さんと出逢っていれば……と妄想せざるをえない。

そんなこともあり、次回わたしがもしキャラクター小説を書くことがあれば「うちの子まとめ」さんを是非利用したい。これはお世辞でもなんでもなく、心からの言葉である。表を作る手間が省ける分、より執筆に集中出来る気がするのだ。それプラス純粋に自分のキャラクターの情報をまとめるのは面白そうだとも思う。こういった創作向けサービスを積極的に使うことで、更なる快適・素敵な楽しい創作ライフが送れたら。これ以上の幸せはない。

「創作が好き」という想いから生まれた「うちの子まとめ」さんは、物語を深めるために必要な、キャラクターへの理解・愛情を育ててくれる貴重な場所。「好き」で溢れるこの場所が、わたしはやっぱり「好き」なのだ。