理想と過程

『やらない人との話』

前回に続き居酒屋トークになりますが、「やる人間は過程を語り、やらない人間は理想しか語らないよね」ということをよく話します。
酒の席などで色々な人と話をする中で、物を作る・作ろうとしている人間と語ってる中で、「ああ、この人は作ったことがないな」「この人は結局なんもやらんだろうな」という臭いを感じる部分がまさにこれで、売れる物が作りたいとか、こんな話を考えていますだとか、まあいろいろ聞くのですが、やらない人間は基本的に(ほんとにみんながみんな結構そうなのですが)、どうやって作るか、その具体的な過程を語らないんですよね。枠組みの外側しか語れない。骨や肉の部分がスッポリ抜けている。
そんな感じをよく受けます。

『やってる人との話』

ひとつの話を作る際に、「こういう話にするんだけど、ヒロインが決まらなくてさ」などという話題が出たときに、話に沿ったヒロインを考える際の『過程』を踏める人がいます。考え方はそれぞれあると思いますが、完成にこじつける過程を一個一個提案できる人たちがいます。たいてい完結作品を生み出している人たちで、その過程をよく理解してる人たちです。
または、作品を読んで楽しむことをメインにしている方々の中でも、最適解をポンと投げ込んでくる人たちもいます。自分が楽しいと思うことを良く知ってる人たちの言葉は、鋭い楔となって刺さります。いやほんと、ありがたいことです。

『やらない人との話に実りがないかどうか』

前提とする言葉の聞こえが悪いので誤解しがちですが、やらない人は、やり方が分からない人・やり方そのものを整理して組んだことがない人でもあるので、会話をしていくうちにこちらの考えも整理できますし、相手の詰まっている部分が相手側のひらめきであっさり氷解してしまうこともあります。
驚くことに、この一見『やらない人』の理想ですが、恐ろしいまでに組み上げられた先に見出された最適解であることもあり、実に侮れません。解決していく過程で自分フィルターを通し「これでもか」と自分ならこうすると味付けし、自作に活かしたりします。

『男は会話の中で解決を試みる生き物』

男は会話の中で自然に解決を模索する……などと良く言われますが、先述の流れを追うと自分たちはその傾向が強いのかな、とも思います。なので、相手の立ち位置がどうであれ、相手への敬意があるならば会話自体は必ず実りあるものになります。
いちばん怖いのが、自分は創作をやる人間であることが、さも立派なモノに思えてしまい、天狗になることです。そうなった段階で、自分のやり方のみに拘泥する、見ざる聞かざる――しかし言いたがる人間が出来上がってしまいます。
やらない人との話こそ、宝庫です。上手く促して創作仲間を増やしましょう。今回何が言いたいかというとつまりはここなんです。

『興味を持ってる人を沼に引きずりこもう』

と言うと聞こえは悪いのですが、今回これを書こうと思い至った流れが、「今まで同人誌書いたことないけど、本を出したいな~」という人に原稿を書かせるにはどうしたら良いか、という会話の流れを伺ったからなんです。
まず出るイベント(即売会)を決めて、申し込む。締め切りが決まるから、尻に火がつき書くようになる――という意見。
これに対して、具体的に書く段階から入稿まで、そしてイベントに出る際の段取りと流れ、それを教えて上げる人、教えて上げられる人がいるかどうか。

そもそも、尻に火がつけば書くだろうというのは具体的に書いたことのある人の意見であることが多いのですが、今回の肝は『過程を語る』ですので、実際に書くにあたるものを系統立って順に教授することができるかどうかが大切になってきます。
自分の行ってきた作業がしっかりと説明できるかどうか。
コラムで長く語っていますが、真処はやはり、それです。

『やり方を相手に沿って説明できるかどうか』

これができるかどうかで、自分に染み付いた術理がものになっているかどうかが計れるのかもしれません。自分のやり方という術理が、「相手に教える」にあたってどう発露するのか。
上から手を引くのではなく、横から背を押し促せるか。
指示ではなく提案として、相手への敬意をもって動けるかどうか。
和して同ぜずと自分を律することができるかどうか。
難しいんですよね。
少しでも自分に権威を持たせたいと思った瞬間に、陳腐な形骸化を辿るようになってしまいますから、難しい。

『術理は伝えられるか』

般若心経を天竺から持ち帰った玄奘三蔵法師は、悟った体験は言葉で説明しきることは無理であると悟りました(やや重複)。自分が体得したものを相手に伝えるには、自分がこなしてきたことから発見して貰うしかないのです。
相手に沿って提示できるかどうかは、相手を見ていなければなりません。感・勘・観の、『3カン』が大事ですね。
この、相手を敬意を持って観る、という行為は、とても大切です。これができない場合、相手からも敬意を持って見てくれることがなくなるからです。

結局、相手に相手が信じたい物しか受け取ってもらえない状況に陥るのは、この一歩引いた状態でも顔を背けられていない環境が作れないからなんだろうな、と。
とかく、促すことと伝えることは難しいなあと。
なもんで、創作したいな~!という方に出会ったら、タイプを伺って上手いこと促して仲間を増やすのも創作の楽しみだったりしますので、皆さんガンバってゾンビのごとく仲間を増やしましょう。

『つまり何が言いたいのかというと』

プロットから寄り添うように手伝ってくれる美人の(略)。