はじめての合同誌企画主催

合同誌企画とは

「合同誌をつくりたい!」と思ったことはありませんか?同人活動に興味があるお友だちや、 Twitter で知り合った同志と話しているときに、「そのうち合同誌とかつくってみたいよね」って話したこと、あったりしませんか?

普通の同人誌は、作品の内容から印刷や告知・当日の頒布まで、作家ひとりでやります。「自分の作りたいものを作る」という意味では、いちばん気軽で自由な方法ですよね。

それに対して合同誌の場合は、複数の作家が集まって、あらかじめ決めたページ数の作品を描きます。それらを合わせて1冊の本として作るのが、合同誌という形態です。

コミックマーケットやコミティアなどのイベントに初めて参加するとき、「いきなりひとりで1冊の本をつくるのは不安……でも仲の良い友だちとならなんとかなりそう」と思う気持ちをきっかけに、合同誌の企画を立ち上げるケースも多いようです。

合同誌の企画は、主催者に今まで同人誌をつくった経験があるとよりスムーズに進行できますが、それがなくてもできないわけではありません。

この記事では、合同誌企画とはどんなもので、主催するにあたってどんな楽しみと、その裏側に困難が待ち受けているのか、その全体像を説明したいと思います。

合同誌企画というプロジェクト

ところで、「プロジェクト」という言葉を聞いたことはありますか?プロジェクトとは、「何らかの目標を達成するための計画」(^1)で、「目的」と「期限」があるのが特徴です。

「プロジェクト」のわかりやすい例は、たとえば「文化祭の準備」があります。このプロジェクトは「文化祭で展示するものを作ること」が「目的」で、「文化祭の開催日」が「期限」になります。

もっと身近な例では、「晩御飯のお買い物」という規模の小さなプロジェクトもあります。こちらの「目的」は「特定の食材を入手すること」で、「期限」は「晩御飯の準備を始めるまで」ですね。

それと同じように、「合同誌企画」というのも、ひとつのプロジェクトです。このプロジェクトの「目的」は、「合同誌を完成させて、読者に届けること」。「期限」は、「入稿の締め切りの日」だったり「即売会イベントの日」だったりします。

「期限」ははっきりしていますね。イベントにしても、入稿の締切にしても、特定の日付がすぐにわかります。一方で、「目的」はどうでしょうか?よく見ると、この「目的」は2つの言葉からできています。

「目的」は2つの言葉からできています

ひとつずつ見てみましょう。

「読者に届ける」だと漠然としているので、もっと具体的な言葉にして見ましょう。一般的に、合同誌が読者の手元に渡るのは、コミティアやコミケなどの即売会イベントです。プロジェクトの「目的」のうち、「読者に届ける」という部分は、「即売会にサークル参加する」ことで達成されるのがほとんどです。

でも、さっきの図を見ると、残りの「合同誌を完成させる」のほうが、プロジェクトの大部分を占めていますね。

「合同誌を完成させる」のほうが、プロジェクトの大部分を占めています

この部分を制することが、「合同誌企画」というプロジェクトを成功に導くことに繋がりそうです。

この「合同誌を完成させる」という取り組みは、大抵は「主催者」(あなた)と、ほかの「参加者」たちに分かて行います。企画の趣旨を考えた主催者は、参加してくれる人のために、原稿を書く以外のことはほとんどひとりでやる場合が多いようです。

「主催者」(あなた)と、ほかの「参加者」たちに分かて行います

印刷所や即売会イベントの準備会との連絡など、外部とのやりとりが必要なときもあります。そんなとにも、窓口になるのは主催者です。

窓口になるのは主催者

主催者の役割

先程の図で見たように、「主催者」と「参加者」は、役割分担をしています。それぞれが担う役割を詳しく見てみましょう。

「参加者」の役割は、原稿を描くことです。ふつう、企画のコンセプトに合わせた作品を、主催者から指定されたページ数に合わせて作ります。基本的には、「参加者」がやるべきことは、これですべてです。あとは「主催者」がやってくれるか、必要な場合には個別にお願いされたりします。

「主催者」も、今説明した「参加者の役割」と同じことをやります。つまり、原稿を描くということですね。

そして、それに加えて、ほかにもたくさんやるべきことがあります。一例を挙げてみます。

原稿の取りまとめ

「主催者」は、「参加者」が作成した原稿を、入稿できるように手元に集めないといけません。

これは意外に大変です。特に何も指定しなければ、みんないろいろな方法で原稿を送ってくるからです。ある人はメールに添付するかもしれないし、ある人はストレージングサービス(ファイル便とかですね)を使うかもしれない。人によっては Dropbox で受け渡したいからフォルダ共有をしたいと言ってくるかもしれません。

編集作業

原稿を取りまとめても、そのまま入稿できるわけではありません。原稿が体裁に合っていないなどの事情があれば、描いた人に修正をお願いしたり、場合によっては主催者が修正することもあります。主催者によっては、誤植などがないか自分で確認する人もいます。

そして、入稿に必要なのは原稿だけではありません。少なくとも装丁を考えたり、表紙・裏表紙を作る必要があるし、必要なら目次やあとがきページ、奥付などを作る必要があります。

入稿作業

編集作業が済んで、入稿ができる原稿が手元にできても、すぐに入稿が完了するかはわかりません。入稿するときは、主催者は心も体も披露した状態にあることが多く、普段ならしないようなミスをすることもあります。たとえば何かの間違いで、原稿のすべてが左右反転してしまっていて、印刷所の担当者の方に指摘されるまで気づかないということもあります(筆者の実話です)。

入稿が終わればひとまず合同誌が完成することは確定します。いわゆる「脱稿」ですね。

サークル参加の申し込みなどの事務手続き

「読者に届ける」という目的は、合同誌を印刷するだけでは達成できません。読者に頒布するためにイベントにサークル参加するためには、そもそもその申し込みをしなければいけません。他にやることが多い状況では、意外にサークルカットの作成が重たいタスクに見えることがあります。

告知(Web や Twitter)

イベントの会場で、よりたくさんの人に注目してもらうためには、事前に Web サイトをつくったり、 Twitter でお知らせしたりすることもあるでしょう。こうした告知の活動も、「主催者」が担当することが多いようです。

「作家兼管理者」という難しい立場

主催者は、もちろん単純に「やるべきことが多い」という意味で、大変な役割です。

だけど、一番難しい部分は、ある場合には厳しさをみせないといけないことかもしれません。主催者に求められる役割のなかには、軋轢を生むきっかけになるものもあります。

たとえば「原稿の取りまとめ」なら、提出が締切に間に合わない人もいます。もちろん、みんなが締め切りに間に合うのがいちばんです。でも実際には、体調を崩したり、予定どおりに制作が進まなかったりして、遅れてしまうこともあります。

合同誌の主催者は、自分自身も創作をする人が多いので、その事情もよくわかります。そして反対側には、「動かすことができない入稿の締切」という事情も立ちはだかっています。そういうときに提出の催促をするのは、心が痛むものです。

とりわけ、そのときに「参加者としての自分自身」も締切に遅れていたりすると、催促をする心理的な負荷は想像を絶するものになってしまいます。合同誌の主催者は、作家でもありマネージャーでもあるという、「プレイングマネージャー」という難しい立場になりがちです。

これからのこのシリーズ

今回は、「合同誌企画というプロジェクト」の全体像を説明しました。「合同誌企画って楽しそう!でも大変なことも多いんじゃ…」「ひとりで一冊の本を作るのは大変そうだけど、みんなといっしょならできるかも?」と思っているあなたの参考になったなら、とても嬉しいです。

合同誌企画は楽しいけど、それと同じくらい大変なこともあります。それは合同誌だからとか、創作活動だからというわけではなくて、人が集まって活動すると、いつでもどこでも出てくる問題です。

筆者はこれまで、合同誌企画をだけでなく、様々な種類の「複数人で取り組むプロジェクト」を経験してきました。そういう場所で生じる問題の根本には、合同誌企画の運営で直面するそれと、共通した構造があると感じています。そうした経験を合同誌企画の運営に活かせればと思って、このシリーズを書くことにしました。

アフリカのある部族のことわざに、「速く行くならひとりで行け。遠くに行くならみんなで行け」という言葉があります(^2)。筆者はこの言葉のもともとのニュアンスを知らないけど、自分の身に置き換えて想像することができます。

どこかに急いで、行き先だけを見て早足であるくのもいいし、仲間と一緒に話しながら、ときには立ち止まって休んだりして、遠くまで行くのもいい。合同誌や Web 企画って、そういう活動だと思います。

次回は「どうしようもなくなったとき」にダメージを最小限に抑えるための知識を紹介したいと思います。

今回挙げた「大変なところ」は、「主催者がひとりで抱え込んでしまう」ときに深刻化します。ことわざにもあるように、ある場合にはそのことを開示して、手を取り合って助け合うこともできます。あるいは誰にも知られずに、テクニックを駆使して状況を打開することもできるでしょう。いろんな選択肢があるのが、主催という立場のおもしろいところです。

それではまた!

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脚注